本日ご紹介するのは、海洋帆船画家・上田毅八郎による油彩画「ソードフィッシュ」です。
「ソードフィッシュ」は1851年、アメリカ初の本格的な海軍建築家として名高いウィリアム・H・ウェッブによって建造された帆船です。ウェッブの作品群の中でも最高傑作と称され、19世紀帆船の歴史においても屈指の名船として知られています。
そのスピードは当時の大型帆船の中でも突出しており、ニューヨーク〜サンフランシスコ間の航海レースでは、名造船家ドナルド・マッケイが建造した「フライングフィッシュ」と競い合いました。結果、「ソードフィッシュ」は92日間での航海を達成し、対する「フライングフィッシュ」の98日を上回る記録を樹立。歴代2位となる偉大な航海記録を残しました。
上田毅八郎の作品に描かれた「ソードフィッシュ」には、荒波を突き進む力強さと、シルクのように輝く帆の美しさが見事に表現されています。立体感あふれる筆致により、空や雲、海のコントラストが調和し、観る者をまるで航海の只中へと誘うような迫力を放っています。
まさに、歴史と芸術の両面からその偉大さを感じさせる一枚です。