
本日ご紹介するのは、海洋帆船画家・上田毅八郎氏による油彩画「サミュエル-プリムソル」です。
この帆船は、19世紀イギリスの政治家サミュエル・プリムソルにちなんで命名されました。プリムソルは、船が安全に航行できる積載重量の上限を示す「ブリムソルマーク」を考案し、その表示を義務付ける法案を成立させたことで知られています。
「サミュエル-プリムソル」は美しい造形を誇り、入港の際には多くの人々を魅了した人気の帆船でした。英国政府船としてイギリスとオーストラリアを結ぶ長距離航海を繰り返し、その堅牢さと信頼性を示した名船でもあります。
上田毅八郎氏の筆致によって描かれた本作品では、伸びやかな船体のラインや立体的に張られた帆が見事に表現され、凛とした英国帆船の姿が迫力をもって伝わってきます。長距離航海を支えた力強さと気品をあわせ持つ姿からは、まさに英国海運史を象徴する存在感が感じられます。