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メイフラワー号とアメリカの礎

「アメリカの故郷」とも言われるプリマスは現在のアメリカの礎とも言える場所であり、「メイフラワー号」という帆船が大きく関わっております。

 

1600年代初期のイングランドでは、イングランド国教会の礼拝に出ないと法に背くことになり、参列を拒むものは罰金を科された時代でした。

 

イングランド国教会とは16世紀にイングランドで成立したキリスト教から派生した宗教ですが、当時のイングランド王であるヘンリー8世の嫡子問題を発端としております。元々は熱心なカトリック教徒であったヘンリー8世は男子後継者に恵まれず、キャサリン妃と離婚し、宮廷侍女のアン・ブーリンとの結婚を強く望みました。

 

この辺のドロドロとした宮廷ストーリーは映画化もされており、ナターリー・ポートマン主演の「ブーリン家の姉妹」が記憶に新しいですね。

 

カトリック教ではそもそも宗教上、離婚自体は認められておらず、ヘンリー8世はローマ教皇に離婚の認めを求めたが承認をもらえることができなかったこともあり、結果、カトリック教会からの分離という形で誕生したのがイングランド国教会です。

 

抑圧すれば反発するもの、逃れるものがいるのは世の常ですが、当時のイングランドにおいても国教会からの弾圧に対し、国内から宗教改革をしていこうと反発するものもいれば、外に逃れ自由な信仰をしたいと思うものもおりました。

 

後者である外部に自由な信仰を求めたものたちが、新世界、つまりはアメリカに渡ることになり、自由の国への航海に使われたのが「メイフラワー号」となります。

 

弾圧から逃れ、メイフラワー号に乗ったイングランドピューリタンたちは、アメリカ東海岸のプリマスに新しい居住地を求めることになります。プリマスは現マサチューセッツ州にある町であり、地名はイングランドの出発地点であるプリマスにちなんで名付けられました。

 

正しくそのままの名称であり、新世界アメリカで新しいイングランドを築いていくという強い意思を感じますね。ちなみにプリマスを含んだアメリカ北東部の地方名は「ニューイングランド」と呼ばれます。

 

さて、意気揚々と新世界にたどり着いたのはいいですが、もともとイングランドの都市で生活していた人たちであったため、未開拓の荒地では生きていく術すら持っていない状況であり、まともに生活ができませんでした。

 

この状況下で助けの手を伸ばしたのが、先住民であるインディアンのワンパノアグ族です。ワンパノアグ族は当時インディアンの部族間抗争やイングランドピューリタンの持ち込んだ疫病で疲弊していたこともあり、イングランドピューリタンを助け、共存していくことが自部族を助けることに繋がると考えたのでしょう。

 

一時的にこの共存関係は保たれていましたが、次第にピューリタン側の侵略等が進行し、対立関係へと変化していきました。そして、1620年頃に5,000人程いたワンパノアグ族はこの侵略、抗争で400人程に減少することになりました。

 

侵略や抗争には文化や思想の違いが生み出した相互誤解の部分があったにせよ、イングランドで迫害を逃れ、新世界に自由を求めてきたものが、結果として新世界にて逆の立場に転換したということでしょう。

 

この一連の歴史を振り返る中で、ひょんなことにQueenのTeo Toriatteという歌詞の一部が頭の中に過ぎりました。

 

They’ll say we’re all fools and we don’t understand

(彼らはこういうだろう、愚かで、何も理解していないと)

Oh be strong, Don’t turn your heart

(ああ、強くなって、気持ちを持ち続けるんだ)

We’re all, You’re all, For all, For always

(我々はみな、君たちはみな、一つなんだから、いつまでも)

 

今の世の中はどうであろうか、歴史は繰り返すのか、歴史から学ぶのか、この歌詞の世界は存在するのであろうか、

They’ll say we’re all fools and we don’t understandがやけに突き刺さりますね。

 

 

©︎2020 宮本快