上司から「それで、結局何を言いたいの?」と言われ、
「何で分からないかなあ?」と頭を悩ます部下。
再度上司へ説明するものの、また同じことの繰り返し。
生産性の低く、しかし、会社で頻繁に見る光景ですよね。
そこで本日紹介するのは、
「バイユーのタペストリー」にまつわる話です。
タペストリーとは織物の一種であり、物語を伝えるためのものでした。
「バイユーのタペストリー」はノルマン人によるイングランド征服の物語を描いたものとなり、
1080年頃に作られた説が濃厚です。
内容は物語の登場人物の人物像および文字で構成されており、明瞭な切り口で描かれています。
バイユーのタペストリーから遡り、
古代オリエントやローマ美術時代にも進軍や勝利の物語を表す作品は多く存在しました。
ローマ美術の「トラヤヌス記念柱」もその部類です。
同じ物語性の作品であり、この差異に注目してください。
ローマ人は事実を重んじる民族であり、
軍に行かない人に対し、軍功の偉大さを印象付けようと、
細部を正確に表現することを重要にしておりました。
一方、バイユーのタペストリーは人物像も正確とは言えないですが、物語としてのシーンは明瞭に伝わってきます。
時代の流れですが、
「知っていること」「見えているもの」だけでなく、
「感じること」を表現するようになったのは中世画家と言われております。
この作品から約1000年経った今でも情報が明瞭に伝わり続けており、情報伝達としての要素として見る場合、
「感じること」を表現する→
「感じること以外」は表現しない→
「余計なことを省く」ことの重要性がわかると思います。
さて、話は戻り、家族でもない限り、
自分の話に興味を持って耳を傾けてくれる人は、
限りなく少ないと思った方がいいでしょう。
その人に対して、一度に多くの情報を伝えても、理解できないのは仕方のないこと。
そもそも興味がないですからね。
そんな時は「バイユーのタペストリー」みたいに、
「必要な情報に限定し、余計なものは省く」アプローチは有効的です。
疑問に思われたらこっちのもの、後はキャッチボール。
「余計なものは省く」を突き詰めると、最終的に上司自体を省くことが出来れば理想!
と考える方も中にはいるかと思います。
ただ会社人間でいる限り、上司という存在から逃れることは難しいですよね。
他人に理解を求めるって非常に難しい、言語以前に絶対的に相性が合わない人もいることも事実。
その中でも、まずは100歩譲って、自分から少しアプローチを変えてみてはいかがでしょうか。
©︎2020 宮本快